東京都千代田区と千葉県船橋市の
税理士法人、司法書士・行政書士事務所TOTALの
高橋寿克です。

昨日、金融庁から、中小企業の債務の返済条件緩和に応じるよう金融機関に促す「中小企業金融円滑化法(返済猶予法)」について、来年3月末の期限を1年間延長する方針を決めました。
東日本大震災などで中小企業をめぐる情勢が厳しくなっているため、金融面の下支え継続が必要と判断したようです。

金融円滑化法は、亀井静香前金融担当相が、「平成の徳政令」として一昨年12月に導入したものです。適用を受ければ、元金の支払いを数年間棚上げできる上に正常債権として評価してもらえます。
導入から2年で実に225万件(23年9月末現在)以上に上り、かなり重複があるとはいえ中小企業数(法人で250万件)に比して著しく多くなっています。

税理士法人TOTALは、がんばる中小企業のサポートが使命です。
幸い、うちのお客様は、東日本大震災の後でも、比較的黒字比率が高く(6割くらい)、リスケをかけたお客様は多くはありません。
ただ、それでも苦しい一部のお客様にとっては助かっているのも事実です。我々も事業再生計画の作成等でお手伝いすることも出てきています。

借りたお金は、もちろんいつか返すのが原則です。ただ、中小企業の社長には、頑張りすぎないで、リスケ等、使える制度をうまく使って、最悪、どこかで会社をつぶしても命を取られるわけではない、別の会社を作ってやり直せばいいと思うくらいの図太さも必要なのかもしれません。

一方で、マクロ的に見ると、元金を数年間棚上げできるため、直近では中小企業の倒産はそれ以前より減少しています。ただ、問題を先送りするだけで、不良債権の増加によって中期的には、国家財政(国が100%保証したり、出資していることが多い)の破綻、ギリシャやイタリアのようになりかねない毒薬です。
 
野田総理大臣は、私が住んでいる船橋市の出身で、早稲田大学政経学部の先輩なので何度も話す機会があり、よく人柄を存じ上げています。非常に政策をよく勉強しており、信念を持った方なので、かなり当初は期待したのですが…。
残念ながら、政治を変える、社会を変えると言うのは生易しいことではないようです。
私自身は経済人ですので、政治的な発言は余りすべきではないのでしょうが、この国の将来を年末に憂えなくてはいけないのは残念です。

ただ、我々経営者は、与えられた環境の中で、いかに会社や、社員及びその家族、取引先等を守っていくか、これしかないでしょう。
中小企業とともに成長するTOTALとしては1社でも多くのお客様の生き残りを手助けしたいと思います。

今年も1年お客様には大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします。