税理士の高橋寿克です。

今年は、クラウド会計ソフト元年です。

前回は 「クラウド会計ソフト三国志(2) MFクラウド会計 辻庸介社長
でした。

今回は、 弥生オンライン 弥生の岡本 浩一郎社長です。

弥生は、弥生会計でパッケージソフトでは圧倒的なシェアを持っています。
独立系中小ソフトメーカーだったのが外資系(インテュイット)、MBO、ホリエモン(堀江 貴文氏)最盛期のlivedoorと買われ、
(弥生の社長だった平松 庚三氏が、ライブドア事件によるホリエモンの逮捕を受け、livedoor の社長に就任してニュースにもなりました)
その後もまた、外資系に売却されていたのですが、ついに昨年11月、オリックスが買収し、その傘下に入りました。
これにより、安定した資本、潤沢な資金、豊富なネットワーク、長期的な運営ができる体制ができました。

当社でも、パッケージソフトは弥生会計が中心なので、お婿さんが決まってほっとしています。

岡本浩一郎社長は、東京大学工学部卒、野村総合研究所でエンジニアをし、UCLAでMBAを取得。ボストン コンサルティング グループ、起業を経て、弥生の社長になられています。

岡本社長の就任前は、弥生は圧倒的なシェアの割には落ち着かない会社でした。IT業界出身でかつ卓越したマネジメント能力を持つ彼の力で業務レベルも安定しました。

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税理士法人TOTALに東大・ボストンコンサルティンググループの後輩にあたる優秀なスタッフが入社してくれました。当社のマネジメントを手伝ってもらうことによって税理士法人TOTALも安定してくれるといいなあ。
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その弥生も、クラウド会計では、やや後発になります。
これは、膨大な顧客基盤を持つため、慎重に、整合性を取りながら安定した開発を進める方針のためというのが岡本社長の説明です。

クラウドは、ツール(手段)に過ぎない。お客様の事情や要求に合わせて、パッケージソフトでも、クラウドでも安定して供給するのがトップメーカーの務めであるという考え方で、
freeeやマネーフォワードほどクラウドが絶対なのだという切迫感はありません。
クラウドの開発を、従来のものとは不連続にしてスピードを上げるという手法はとらず、基本機能をしっかり作りこんでバグが少なく安定しており、
分厚い顧客基盤により、年配の税理士にも、社歴のある企業にも受け入れやすいという強みもあります。

弱点は、過去のソフトとの整合性を重視するため、どうしてもクラウド専門で進む2社と比べると開発スピードが遅れることです。


これで、このシリーズも終了になります。3人の社長には、ありがたいことに何度もお会いする機会をいただいています。それぞれに魅力的な社長で、社会を変えていく力に溢れ、夢に向かって進んでおられます。
ここ2〜3年が、クラウド会計の普及期になるため、3社にとっての勝負の時でしょう。

もっとも、ユーザーにとっては、従来のソフトと違い、作業量・慣れの問題は少なく、データの移管は比較的容易なので、ソフトの選択は好みや会計事務所に合わせて問題ないような気がします。
間違ったら後で変えればいいのです。

実際には、クラウドに対応できる会計事務所が少ないことが問題です。
税理士法人TOTALでは、平成27年9月現在では、3社のクラウドにすべて対応しています。
積極的にクラウド対応をしていきたいと思います。

会計事務所の経営者としては、お客様の希望をお聞きしつつ、お客様に合った会計ソフト・クラウド会計をご提案したいと思っています。
(ディファクタ スタンダードが決まったらどれか一つに集約するかもしれませんが)

しばらくは、3社の生き残りをかけた激しい争いが続くことでしょう。




参考) 価格表(税込)
個人事業主:やよいの青色申告オンライン
    セルフプラン     8,640円/年
    ベーシックプラン  12,960円/年
法人:弥生会計オンライン
    セルフプラン    28,080円/年
    ベーシックプラン  32,400円/年
その他細かいキャンペーンがあります。