税理士の高橋寿克です。

韓国の旅客船「セウォル号」沈没事故は死者・行方不明者が300名を超える。
原因解明はまだで、推測の域を出ない情報が多いが、リーダーとしては色々考えさせられる事故だ。

一番感じるのは、効率優先の弊害と教育の不足だ。

そもそも、出航の遅れを取り戻すために定められた航路を逸脱していた。
航路を外れれば座礁の危険性が増すことが認識されていたのだろうか。
(追記:過積載と急な旋回が事故の主因との見方が強まっているようです)

また、タイタニックの悲劇を見るまでもなく、船員は、乗客の安全を守る責任・義務がある。
積載されていた救命ボートが使われることがなかったのは、危機管理のための教育が不足していたとしか思えない。
船員は乗客に「部屋をうごかないように」アナウンスをして、自分たちだけ先に逃げる。職業倫理・法的責任に関する教育はされていなかったのだろう。
船長が一番最初に逃げる。
船長(二等航海士)や実際に操舵していた船員(三等航海士)の教育レベルが疑われている。

仕事の現場では、利益を出すことが求められる。結果で評価される。
短期では、効率を優先した方が利益は上がりやすい。
ルールは知らないうちに軽視されやがて無視される。
教育は、時間がかかるコストとして認識される。
時間の経過とともに、いつかそれが大事故を引き起こす。

リーダーの仕事は、
リスクをきちんと認識し、ルールをきちんと教育し、その中で効率を上げていくことなのかもしれない。
私の判断にたくさんのお客様と100人のスタッフの生活がかかっている。
今月も、新しいたくさんのお客様に恵まれ、何人かのスタッフが入社してくれている。
彼ら、彼女らが事業をやめる日、当社を辞める日のことを考えて
(もちろんその時は僕は引退しているし、この世にはいないかもしれないけれど)
目の前の利益を追い求めすぎることなく、長期にわたる最大多数の最大幸福を実現したい。
私がリーダーをしている間は、その責任から逃げることはできない。逃げるつもりもない。

穏やかな海の日中の事故だった。
航路さえ外れなかったら沈没はなかっただろう。
適切な誘導と救命ボートの活用があれば、人的被害は最小限だったと思う。

今後の生存者の発見という奇跡を期待しつつ、
亡くなられた方の冥福をお祈りいたします。